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立退きに関する判例

判例1(東京地裁判例平成8520

@事案

原告が駅前ビルの一区画を飲食店店舗として被告に賃貸していたが、建物の老朽化による建替えの必要性を理由として解約を申し入れたというものである。

A判決

「原 告の本件解約申し入れには相応の合理性を認めることができる」としつつも、「本件店舗での営業継続の必要性は被告の経営上も甚だ大きいものと認められる」 とし、「右の双方の事情を比較すると、被告にとって本件店舗の明渡しは被告の経営に深刻な事態をもたらすことが予測されるものであり、被告の本件店舗の確 保の必要性は他にビルを所有する原告の右明渡しを求める利益を凌駕するかのごとくである。」と認定しているが、契約期間中の従前の経緯やその間の当事者双 方の利害得失の状況などの諸般の事情を考慮した上で、「原告から被告に対し、被告の移転先での営業が軌道に乗るまでの間の減収の一部を補填する立退き料を 負担させることにより、本件解約申し入れは正当事由を具備するものと解するのが相当というべきである。」と判示している。

判例2(東京高裁判例平成10930

               
@事案

都心の老朽化した木造2階建建物の1階部分を賃借して高級下着店を営んでいた控訴人に対し、その建物の2階に居住している被控訴人が建物の老朽化による建替えを理由に解約をもうしいれたというものである。

A判決

「本 件建物部分の使用の必要性は控訴人の方が勝っているというべきであって、被控訴人の解約申し入れは、それのみでは正当事由を具備しているとは認めがたい」 と認定してうえで、「しかし、本件建物の所在する場所は麻布十番のメインストリートに面し、平成11年頃には近くに二つの地下鉄駅も新設される予定で、商 業地域、容積率500%で、周囲には中高層のビルが少なからず建築され、土地の再開発、高度利用が徐々に進んでいるところ、本件建物は昭和21年建築(昭 和34年改築)の2階建て建物で、今すぐ朽廃するわけではないとしても老朽化はかなり進行し、賃借部分の1階については控訴人が平成5年2月に施した天井 の補強工事などにより営業に支障はないとしても2階は現状のままでは不陸傾斜により生活に適しない状態となっていて、社会経済的な観点からは建物敷地の有 効利用が図られているとは到底いえない。したがって、今後相当額の費用をかけて本件建物の延命を図るよりは建物の建替えを行って高層化し、自己所有建物で 家族らとの居住と営業を実現したいとの被控訴人の希望も社会経済的見地からは首肯されるというべきであり、被控訴人において本件建物部分明渡しによって控 訴人に生ずる不利益をある程度補填することができれば、被控訴人の解約申し入れは正当事由を備えるに至ると解するのが相当である。」と判示している。

判例3(東京高裁判例平成12323

@事案

東 京都港区の高級住宅街に所在し、昭和34年ごろに建築して建築後約40年を経過したアパートを所有する賃貸人が、老朽化した同アパートを、隣接するアパー ト及び一軒家と共に取り壊し、跡地に高級マンションを建築することを計画し、両アパートの居住者らに対して立退き交渉を行い、当該アパートの住戸8戸のう ち7戸はすでに退去し、隣接する一軒家及びアパートの住戸8戸のうち5戸についてはすでに退去しているという状況において、老朽化による建替えの必要性等 を理由に賃貸借契約の解約を申し入れ、建物明渡請求訴訟を提起したというものである。

A判決

当該アパートが建築されてから40年 を経過していること及び当該アパートの所在地の地理的条件に照らし、賃貸人が当該アパート及び隣接する建物の改築計画を持つことは十分な合理性があり、他 方、賃借人の建物の使用の必要性は住居とすることに尽きていると認定したうえで、「そのような場合の立退き料としては、引越料その他の移転実費と転居後の 賃料と現賃料の差額の12年分程度の範囲 内の金額が、移転のための資金の一部を填補するものとして認められるべきものである。」との立退き料の算定に関する考え方を示し、「それ以上に、高額な敷 地権価格と僅かな建物価格の合計額を基に、これに一定割合を乗じて算出されるいわゆる借家権価格によって立退き料を算出するのは、正当事由があり賃貸借が 終了するのに、あたかも賃借権が存在するかのような前提に立って立退き料を算定するもので、思考として一貫性を欠き相当ではない」との見解を明らかにし た。そして、賃貸人が昭和63年10月以降賃料を据え置いていることと、200万円の立退き料の提供をしていることをもって正当事由が補完されるものとし て、賃貸人の解約申し入れには正当事由があると判断した。

判例4(東京高裁判例平成121214


@事案

東 京都台東区所在の商業地である借地上に存する建築後60年以上を経た老朽化した店舗兼居宅の賃貸人が、経営していた会社を清算した時点で従前居住していた 会社所有の土地建物を売却し、以後は借家住まいをして年金収入にて生活していたところ、会社清算の際に引き継いだ2,650万円の借入金債務の返済や、精 神病のために30年来入院している姉の後見人として請求されている入院費用等の支払に窮したことから、1階店舗において菓子・飲料水等の販売店を営み、2 階居宅部分に居住している賃借人に対し、自ら賃貸建物に居住する必要が生じたことを理由に賃貸借契約の解除を申入れ、立退き料500万円の支払いとの引換 えに明渡しを求める建物明渡請求訴訟を提起し、同訴訟において、借入金の返済のために賃貸建物をその敷地の借地権とともに売却する必要があると主張したも のである。

A判決

解 約申し入れの正当事由の有無について、借入金債務を返済するためには、賃貸建物とその敷地の借地権を売却する必要があり、また、昭和8年頃までに建築され た賃貸建物は、経済的効用を全うし、すでに建替え時期が来ていることは明らかであり、借地権を確保するためにも建替えが必要であるとして、建物の明渡しを 求める必要性と合理性があると認め、他方、1階店舗において菓子・飲料水等の販売店を営み、2階居 宅部分に居住している賃借人にも建物使用の必要性があると認めたが、住居についても店舗についても当該建物でなければならない理由はないとし、双方の必要 性を比較すると賃貸人の必要性の方が高いと判断し、賃借人らに生ずる不利益をある程度補う立退き料を支払うことにより、解約申し入れの正当事由が具備され るものとした。そして、「これ以上に、高額な敷地権価格とわずかな建物価格の合計額を基に、これに一定割合を乗じて算出されるいわゆる借家権価格によって 立退き料を算出するのは、正当事由があり賃貸借が終了するのに、あたかも賃借権が存在するかのような前提に立って立退き料を算定するもので、思考として一 貫性を欠き相当ではない」との見解を再び明らかにした。そして、このような観点から算定すると、立退き料としては600万円(改装工事費のうち未償却残額 240万円、2年分の所得200万円、移転費40万円及び2年分の賃料差額120万円の合計金)を上回ることはないと判断した。

判例5(東京高裁判例判平成15116

@事案

一 般住宅と低層共同住宅等の混在する住宅地域に所在する土地上に存する建築後130年以上を経た著しく老朽化した平屋建て建物えを所有する90歳を超える高 齢の賃貸人が、同建物の敷地の有効利用を図ることを切望し、同建物の一部を賃借して居住するとともに、プラスチック成形加工業の工場として使用もしていた 賃借人に対し、隣接するアパートへの転居を勧め、代替物件を提示するなどして建物の明渡を求めたところ、住居と工場とは一体でないと困るなどとして明渡を 拒まれたことから、建物賃貸借契約の解約を申し入れるとともに、建物明渡請求訴訟を提起したというものである。

A判決

当 該建物は物理的な老朽化が甚だしく、経済的効用もすでに果たされ、市場価値もなくなっており、建替え時期が到来していることは明らかであると認定した上 で、「このような本件建物の老朽化に係る事態は、控訴人が本件建物を賃借するようになった昭和47年当時から容易に予測できたものと思われる。これまで控 訴人が本件建物を低廉な家賃で賃借してこれたのは、被控訴人の経済的損失の上に成り立っていたということができる。控訴人が営む工場も、本件建物でなけれ ばならないということもないのである。そして、本件建物のように老朽化した建築物を建て替えることは、被控訴人や近隣住民の利益であるだけではなく、国民 経済的観点からも是認されるべきものである。」と判示し、賃貸人の解約申し入れには正当事由があるものとし、立退料の支払をする必要はないと判断した。 (但し、第1審判決において、立退き料363万円の支払との引換えに明渡請求が認容されており、被控訴人からの控訴がなされていなかったことから、第1審判決どおりの控訴審判決となった。)


 

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